歩道の端っこでしか呼吸できない日|気配アーカイブ

真ん中を歩くほど元気じゃないけど家に帰るほど落ち着いてもいない日。人混みの中で歩道の端っこだけが自分の居場所みたいに感じるときの気配を言語化したエッセイ。
歩道の端っこでしか呼吸できない日|気配アーカイブ

歩道の端っこでしか呼吸できない日

真ん中を歩くほど元気じゃないけど 家に帰るほど落ち着いてもいない日ってある そういう日はなぜかいつも歩道のいちばん端っこでしか うまく息が吸えない

人混みの真ん中は みんなの速度と温度に合わせなきゃいけない気がして ちょっとだけ息苦しい

かといって 「今日は無理だから帰ります」ってほど 何かが壊れたわけでもない

ただ ほんの少しだけ外側に寄って歩きたいだけの日

ガードレールの近くとか 建物の壁ぎわとか ひとりだけ別レーンを歩いてるみたいな位置

そこにいると ちゃんと世界とつながってるのに ちゃんと距離も取れてる感じがして 少しだけ呼吸が楽になる

たぶんあの位置は 「消えたいわけじゃないけど 今日は主役でいたくない人」のために そっと空いてる場所なんだと思う


歩道の端っこを歩いているとき 自分だけ時間が少しゆっくり流れてる気がする

前を歩いている人と 横を追い抜いていく人と 反対側の車線を走る車と みんな別々の速度で進んでいるのを横目で見ながら 自分だけ「まだ決めない」という選択をしているみたいな感覚

どこに向かうかも 何をがんばるかも 今日はまだ決めたくない日

そんなときに真ん中を歩くのは ちょっとだけしんどい

だから端っこを選ぶ それは逃げじゃなくて たぶん自分を守るためのささやかな技術


横浜みたいな都市は その「端っこ」のレーンが少しだけ広い街だと思う

みなとみらいのきらきらしたところじゃなくて 生活感のある道や ちょっと古い高架下や 川沿いの歩道の端あたり

誰にも話さなくていいけど ちゃんと世界の外には出ないでいられる場所

歩道の端っこでしか呼吸できない日が続いたとき そこでいったん立ち止まって 自分の速度を点検し直す時間が もっとあってもいいのかもしれない

この文章は「気配アーカイブ」の一部です 都市の中でふと生まれる名前のない感覚を そっと置いていくためのページです

……ねえ、ナンパじゃないんだけど

誰にも話しかけられてないなら
これ──読んだ人専用の出口にしていいよ

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